F.シューベルト作曲 アルペジオーネソナタ

4月は気温差が激しく、昼間は非常に過ごしやすくても夜肌寒い日も多かったですね。私の周囲では風邪をひいた人もたくさんいましたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか?今回はF.シューベルト作曲アルペジオーネソナタについてです。

現在コンクールにエントリーする生徒さんがおり、アルペジオーネソナタの見直し作業をしています。過去に自分も演奏したことがありますが、主にヴィオラ、チェロで演奏される機会の多い有名曲です。もともとは「アルペジオーネ」という19世紀に登場し、現代には存在しない楽器のために書かれた楽曲です。ギター+チェロのようなもので弦は6本という楽器でした。この楽器、誕生してから10年で消滅してしまったようです。

そのため現代ではヴィオラやチェロで主に演奏されるのですがそもそも違う楽器のために書かれている曲なので、ヴィオラ、チェロで演奏する場合いろいろと不具合(音やアーティキュレーションなど)が出てきます。さらに出版の版によってもかなりアレンジの違いが大きいため、楽譜選びに一苦労する曲なのです。楽曲としては「歌曲の王」といわれたシューベルトらしく、非常に叙情的なメロディと独特な和声進行が印象的な大変美しい曲です。

自分の時はインターナショナル版を使い書き込みでいろいろ直したのですが、楽譜は時間が経っていると改定されて新しくなっていたりするので油断できませんし、ベーレンライターやペーターなども見て総合的にボーイングやアーティキュレーションを考えなければいけません。。。また演奏スタイルは時代によって流行があり、それも調べないといけません。

と、思っていたらさすが現代、ネットに資料がいろいろありました。なんていい時代!!特にこれは役に立ちましたが3年おきに東京で開かれているヴィオラコンクールの動画が公式でアップされていました。

The 3rd Tokyo International Viola Competition [1st round Day2-1]

この動画の1番最初に演奏している女性が1位でした。これだけでも4人ほど演奏を見ることができるうえ、他にも1次予選全員分が動画アップされていました、素晴らしい!!

コンクールは若い人のトップアーティストに仲間入りするための1つの方法であるためこれからの未来を予感させるような演奏をしている人物が入賞しており、とても学びが多い動画でした。ショパンコンクールなどもライブ配信を行っていたりしますし、音楽ではないですが世界のトップレベル大学の授業を無料配信していたり、世界の最先端の学問をどこにいてもネットがあれば学べる環境は本当に素晴らしいです。

そのかわり「知らない」「つかえない」ということがいろいろな差を生み出しそれが格差につながってしまうという現実もあります。私達教える立場の人間は恩恵の光と影を十分に理解したうえで、光の部分を最大限生徒さんたちに還元できるような努力が求められる時代に生きているという自覚を常にもっていたいと思っています。


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