数学と感性のせめぎあい・音程(ピッチ)について

柴田です。しばらくぶりの更新でちょっと緊張しています。11月はイレギュラーな仕事に追われ、12月になってからは色々と考えることがあり更新が空いてしまいました。考えていることはたくさんあってもなかなか頭の中を書き出すのは難しいと思う年末です。

今日は音程(ピッチ)について書いてみたいと思います。

音程って何?

子供のころ、みんなで音楽の時間に歌っているとき自分だけ音が外れていないかドキドキしたこと、誰でも多かれ少なかれあるのでは?と思います。音程外す=仲間はずれみたいな感覚があったような記憶があります。

でもそもそも音程が合っているか間違っているか、誰が決めているんでしょうか?学校での音楽の時間を思い出してみると、「ピアノ」が音程の基準であったと思いますが、ではピアノの音程は誰が決めているんでしょうか?

ピアノは楽器であり道具であるためピアノを「調律」しなければ使えません。「調律師」によってチューニング(調律)されてから初めて使える道具です。そのチューニングを決めているのが「音律」です。ピアノには平均律という数学理論が使われています。しかし、音律の理論は他にも純正律、ピタゴラス音律、ミーントーンなどが存在します。

音は波動であり数学が基本

ピタゴラス、どこかで聞いたような名前ですね。そう、数学に出てくる「ピタゴラスの定理」を発見した哲学者・数学者です。数学的には音程は音波の周波数比ということになるためピタゴラスは音によって世界を解明しようとし、2:3という周波数比を発見し音律を作ったと言われています。しかし、音楽を実際に演奏する上ではピタゴラス音律だけでは制約が多すぎたため音律の理論はその後、純正律、のちに平均律へと時代と共に基準は変化していきました。余談ですがリベラル・アーツの科目に音楽が含まれているのは、そもそも音が数学・物理学として着目され理論的な研究されていた事がベースとなっています。その理論は後世の音楽理論のベースともなり、現代では専門課程に楽典(ソルフェージュ)、和声学、対位法などの形で受け継がれています。

音程を決めるのは最終的には人間

音律がどのように決められているのか、理論の話は長くなってしまうのでここでは詳しく説明はしません。簡潔に書くと、純正律は自然法則でありハーモニー(調和)を重視していること、平均律は人工法則であり、合理性、機能性を重視している、といったところでしょうか。このように音程はどちらの場合も厳正な基準があるものの、片方だけを使用するとそれぞれに限界があり、法則どおり演奏すると音楽になりません。ではどうしているかというと、たとえば自分でチューニング(調弦)する弦楽器は、ハーモニーを重視する場合は純正律を、機能性を重視する場合は平均律を自然と使い分けて演奏者が音程を取っています。平均律でつくられたピアノの場合でも演奏方法やペダル、調律によってまったく基準どおりに音程が聞こえるようにはなっていません。現代にはチューナー(音程を測定する機械)があり、目に見える基準が正しいと思いがちですが、実際は人間の耳が複雑に絡み合った音程を微修正しながら演奏することによって、美しいハーモニーが奏でられているのです。

そうやって考えると学校での合唱はピアノという人工法則の上で、人間の声は自然にハモるように耳で1人1人が調整し、なおかつ大勢で同じ音程になるように歌っているわけです。また、音がハモることは単純に考えると音のエネルギーが倍になった状態ですが、実際には音のエネルギーは物理的には10倍に換算されるそうです。ということは美しく響くハーモニーを10人で奏でたら、10×10=100のエネルギーに換算されるということです。音楽家の演奏を聴いて圧倒されるのは、こういう理由があるから聴いていて感動するのでしょうね。

音程は数学と感性のはざまで常に変化していくもので正解は無いのかもと考える時もありますが、演奏者と聴き手が圧倒的なエネルギーを感じることができる瞬間を共有できる音楽こそが音程の「正解」なのだと思います。


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